「青子、お前、本を読めよ。」「青子さん、本を読むといいですよ。」
10代後半と20代前半の頃、ある二人の恩人にこのように声をかけてもらいました。 (先方が覚えておられるかわかりませんが、私は恩人と思っています。)
一方、私はただの通りすがりの人ですが、似たような境遇で暮らすどこかの誰かへ、声をかけたいのです。
「(勉強してこなかったなら)本を読んでみて。」 と。
社会に出てきて困難を感じる、疎外感を持つ・・・私の場合は、貧困・毒親育ち、高卒、度重なるうつ、コミュニケーションの問題などです。
このような問題を抱える私は、重い腰を上げて二十代前半から本を読むことにしました。
本を読んで知ったこと、気付いたこと
読書をしたことで世の中の見え方が変わり、社会と自分の関わり方について意識が向くようになりました 。
一般的な教養を備えておられる方から見れば、下手すると中二病なのですが、こちらは大真面目に書いていますので笑わないでもらえたら助かります。
箇条書きで知ったこと、気付いたことなどを書き出します。
・自分が置かれている社会的な立場に対する認識を持つことやその必要性。
・友人や家族関係における人の心の機微と、それに対する反応の仕方。
・会社組織における人の心の機微と、それに対する反応の仕方。
・複雑な日本の社会で、こんなときはこうする、という多くの事例。
・愚かな上司を愚かと気付き、内心を支配されない。
・大学生という人たち。
・モラトリアムという考え方、時間の使い方、それが許させる人たちがいる。
・世の中を動かしている一部の人たちがいて、それを理解して甘受している大勢の人とたちがいて、何も知らずに暮らす一部の人たちがいる。
・日本においても紛れもなく格差、不平等がある。学校教育における平等という言葉の空虚さ。
・合理的という概念、合理的な物の見方。
・具体化、抽象化という考え方など物事の見方と言葉による表現の仕方など。
・日本史全般について。
細々としたことも、思い出したことは書き出しました。
このとおり、小学生や中学生でも考えていそうなこと、知っていそうなことも理解したのは大人になってからでした。
たとえば中学の社会科で税のこと、国民の義務、権利などを学んでいましたが、どうも実社会と結びつけて考えられなかったのです。
知ったところで何か良いことがあるのか
ここが大事ですよね。良かった、良かったっていうけど、例えばどんな良いことがあるの?ということについて、例を挙げます。
・本が社会生活のマニュアルの代わりになりました。何も知らずに社会生活を送るよりも、社会のルールや、社会に生きる大人たちについて知っておく方が、驚きも減るし対処もできるから、自分のストレスが減ります。
・合理的な考え方とか等の概念を知っておくと、やはり仕事も生活も工夫ができてやり易くなります。
・日本史の勉強をしていなくても、例えば司馬遼太郎の本を読んでおくと大筋はつかめますから、大河ドラマを楽しめます。大河ドラマを楽しめるくらいに知っておけば、年配の人との共通言語となり人間関係を構築しやすいです。楽しいことの価値観が一つでも合えば、世代が違っても付き合いやすくなります。やはり、これも自分が会社で生きやすいと感じました。
(若い会社だと年配の方に合わせる必要もないでしょうけれど。ですが、個人的に大河ドラマは好きになったので楽しめるようになって良かったなぁと思います。)
・新田次郎の「八甲田山死の彷徨」という本を読んで愚かな上司が恐ろしくなりました。上司だから無条件に正しいとか偉いということはないのだなぁ、ということを知りました。一歩引いて、批判的な目を持たなければ上司に振り回されて疲弊してしまいますので、このような気付きは自分の心身を守ることにも繋がると思います。
(今となっては不思議ですが、こういうことが本当にわかりませんでした・・・。)
・いわゆる「空気を読む」ということの困難さは多少なりとも克服しています。事例の数が増えるからだと思います。
・言葉を覚え、言葉の使い方も身に付きました。仕事において(恐らく)滞りなくメールや文書作成ができるようになりました。
最後に大雑把ですが、とにもかくにも自分が生きやすくなります。
おまけに大河ドラマや歴史ものの映画を楽しめるなど、日常の中で楽しみを見つけやすくなったりします。少ないお金で気持ちの豊かさが増すように感じます。
読書は難しいのではないか
私は中学までは読書習慣がありましたが、高校に入って一切の勉強を放棄したところ全く本を読めなくなっていました・・・。
ですから、スタートは読書習慣のない方と全く同じです。
最初はとても大変でした。慣れるまではどうしても困難が伴うと思います。
たとえば私は、
・何度も繰り返し同じ文章を読んでようやく理解する。
・長文の理解が困難。一区切りずつ理解し、ようやく一文を理解する。
・が、文章の意味を理解すると、次は固有名詞(登場人物名など)を忘れる。
・文字の上を視線が滑っていき、頭に入らない。
・司馬遼太郎は話が脱線しすぎて、内容がわからなくなり混乱する。
といったように、読み進めることが大変難しく、苦しくて泣きながら読みました。
100%理解できていなくても、とにかく大筋をつかんで読み進めて行くと次第に慣れてきます。
私は未だに「大筋を理解していれば良い」という感覚で読んでいますので、細かい風景描写などはあまり理解していませんし、想像は得意ではないのですが、私なりに楽しんでいます。
自分の好きなジャンルがわかると、そのジャンルの本は読むスピードが上がると思います。
そのうち、読みやすい作家、好きな作家が見つりますし、気付けばさまざまな読書を楽しめるようになりました。多い月には7,8冊程度読んでいた時期もありました。
何から読めば良いか
読みやすい本から始めるといいと思います。
映像化作品が多く、有名で読みやすい作家さんをピックアップしました。(というか私も特段、本の虫ではないため有名どころしか知りません。)
段階的には司馬遼太郎は最後のステップです。なぜなら、私の感覚的には読書に慣れていない場合、話が脱線しすぎて理解の妨げになりストレスだと思うからです。もちろん、読書に慣れてくればそれもまた楽しいです!
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司馬遼太郎(歴史)
番外編で一冊『オススメ』があります。
「読むだけですっきりわかる 国語読解力」(著者:後藤武士)という本は、私にとっては素晴らしい国語の本でした。言葉を知り、今まで知らなかった「考え方」や「物事の捉え方」を身に着けることができたと思います。一人では気づけないことがたくさん書いてありました。
国語力と一口に言ってしまうと伝わりにくいですが、複雑で成熟した日本の社会で生きるために、最低限身に着けておくと便利な力だと思います。
読解力や国語、考える力というキーワードに苦手意識があるのでしたら、一度読んでみてみると良いと思います。尚、こちらは小説ではありません。

読むだけですっきりわかる国語読解力 (宝島SUGOI文庫 D こ 2-4)
- 作者: 後藤武士
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本を読まない代わりに
厳密に読書の代替手段になるわけではないと思うのですが、本を読まないのでしたら漫画を読んだり、映画を観るのも素敵なことだと思います。
・たとえば、映画が良ければ題材となった史実についてネットで調べてみる、とか、そういうことでも少しずつ自分の世界が広がります。
また、レビューを見ていろいろな人の考え方や感性に触れるのも楽しいと思います。
・漫画は面白いですし、学ぶことが多いです。(私の交友関係では)小説よりも気軽に他人と共有しやすいことも素敵なところです。
・歴史に興味のある方は、小学生向けの日本史漫画や世界史漫画を読むといいのではないかなと思います。
・単純に文字を追うのが苦痛でしたら、音声で聴ける作品もあるそうですので、そのような方法で作品に触れてみるというのはどうでしょうか。私自身は試したことがないため、書けることがなくて申し訳ありません。
最後に・・・
文章力がつくと言いましても、私はココが限界ですのでくれぐれも高望みはなさらない方がよろしいかと思います!