自分の病気をなかなか受け入れられない家族に治療を受けてもらうために、傍にいる私たちはどのように接したらよいか、とても悩むことが多いです。
家庭事情や本人の個性によるところは多分にありますが、「対応に悩む」という点では同じような苦しみがあるかなと思います。
今のところ家族同伴で引き続き通院しいる状況ではありますが、現時点での我が家はこうしています、こんな風にしました、という事例を書きます。共感できる人がいると多少は気持ちが楽になるのではないかと思いましたので。
尚、本人は成人ですが、家族の中で誰かという点と具体的な病名については伏せたいと思います。また、私は頭が良くない上にうつと発達障害があるため「精神的に余裕がなく、発想が極端な方へ向かいがち」です。書いていることも極端になりがちかもしれませんのでこの点をご留意いただき、「とにもかくにも患者の家族って大変だよね」という目で見てもらえればと思います。
目次:
- 救急車で運ばれる、病気を告げられる本人の気持ちを想像する
- いつもと違う家族(本人)を前にジタバタしない
- 面会のために患者家族は日常の負担を最小限まで減らす
- ひとまず入院してもらう時の会話事例
- 家族だけではどうにもならない時がある
救急車で運ばれる、病気を告げられる本人の気持ちを想像する
うちのケースでは、本人は意識不明の状態になり救急車で運ばれました。
「目を開けると知らない人たちが自分を覗きこんでいた。声をかけられて、質問されて、一生懸命記憶を辿った。記憶が蘇ってきて、あぁ、自分はおかしくなってない、大丈夫だと思った。とても焦った。」というようなことを本人は話していました。
目を開けたら「搬送されていて病院にいる」という状況って想像できますか?
本人の理解も感情も追いつかないのは当然で、日常生活とは大きくかけ離れた精神状態になることを、家族側がわかってあげる必要があると思います。
いつもと違う家族(本人)を前にジタバタしない
家族の不安は、治療を受ける本人にも伝染して不安が増幅されてしまうように見えます。
周りが必死になればなるほど不安が強まり、周囲の希望とは反対に、本人は意固地になって「自分は健康だ、なんでもない」と言い張ってしまうことがあります。
私の感触としては、成人してそれなりに経験を積んで人生を歩んできている人ほど意固地になると厄介で「自分は平気」「こんなことじゃ倒れない」という主張が強烈だと思います。
治療についての意見が対立し家族関係が悪化した結果、本人が治療を投げたすことになってしまったら本末転倒です。
それに多くの場合、治療には家族の協力と支えが必要だと思いますので、家族関係がギクシャクするような状況は避けた方が良いと感じます。
(本人の感覚としては)昨日まで健康だったのに突然病人になるのですから、その動揺は計り知れないほどに大きいはずです。
うちの場合ですが、意識不明となっていたにも係らず、入院したくない、帰りたいと強く言い張るのです。まるで子どものような状態でした。
大きな子ども、というのがしっくりきます。
いつもと違う本人の様子に家族もショックを受けたり動揺すると思いますが、本人が一番辛いであろうことを忘れてはいけないと思います。
面会のために患者家族は日常の負担を最小限まで減らす
患者家族は、「病気を認めたくない、治療を受けたくない」とダダをこねる大きな子どもと向き合うことになります。
その上、治療を受けなければ命の危機もあるような場合、とても大きな責任を感じてしまうと思うのです。
本人が成人であればたいていのことは自己責任ということもあろうかと思いますが、生命の危機となると、やはり家族としてはそのような割り切り方はできないものです。
説得できなければ死ぬかもしれないというプレッシャーの中、家族と向き合うことはいかに精神的な負担が重いか、想像に難くないと思います。
「本人も納得の上、治療を受けてもらいたい、一緒に歩みたい」と思うのであれば、本人に寄り添うために、徹底的に他の雑多な用事を減らした方が良いと私は思います。
この際、家事も仕事も「雑多なこと」と割り切ってしまうのです。
いつも通り、家事も仕事もこなして、面会に行き、命の危機にある家族に向き合う・・・そんな大変なこと、私は到底できません。
(できたとしても、後から疲労とかうつとか、頑張った分のしわ寄せが来るのではないでしょうか。)
◆◆ここでお節介なことをたくさん書きます◆◆
・職場には家族の病状を説明して、2日1回は早退させてもらうとか、週に1回は有休をとるとか、なんとかして勤務時間を減らすのです。(どうか職場の理解を得られることを願います。)
・家事を含む家の用事は、他に家族がいれば分担で皆にやらせます。1人で抱え込まない。
・洗濯なんてためていいです。タオルが足りなかったらコンビニへ行けばすぐに使えるタオルが売ってます。下着も売ってます。(店舗にもよるかな?)
・ご飯を作らなくてもいいです。スーパーのお惣菜は夜には半額になっていますよ。
・部屋にホコリが溜まっていても死にません。アレルギーが気になるなら、さっと拭いとけばいいと思います。
・洋服が出しっぱなしでも死にません。ひとまず畳んで端っこにまとめて布でもかけておけばさっぱりします。
・物を一か所にまとめるとか、向きを揃えるだけでも部屋はきれいに見えます。手抜きの工夫は大事です。
・家事を手抜きした時間を全て、家族と向き合う時間に充てる必要はないと思います。お茶を飲んだり映画でも観て一息入れて良いと思うのです。
・長引くほど家族の精神的負担もとても大きくなっていきます。家族もろとも倒れることがないように工夫することは大切だと思います。
ひとまず入院してもらう時の会話事例
意識不明で救急車で搬送され、その日のうちに帰れる状態ではない時のやり取りです。目覚めた本人は『もう帰る』と恐ろしいこと言い出します。
本人) 私は健康、病気じゃない。入院は必要ない。今日帰る。
家族) それは難しいかなぁ。救急車で運んだ時の様子を私は知ってるからやっぱり心配。今日のところは入院しよう。
本人) 必要ない。
家族) 運んだときの様子を見ていたからとてもショックだった。無理しないでほしい。
本人) ・・・。でも今は元気だし。意識もはっきりしてるし。
家族) そうだね。だから、本当によかった。念のためね。今日のところは入院しようよ。それで早く帰れるように先生に相談しよう。
まとめるとこんな感じになります。実際には30分前後話していました。そして入院するベッドへ移ってからも同じ話の繰り返しでした。
それから、翌日退院できる状況ではないのに「明日帰る」と言い張るのですが、「そうだね。明日の様子を見て相談しよう。」というふうに決定を先延ばしにて曖昧にすることしてできなかったです。
それでも、こちらが否定しなかったことで、希望を持てたようで聞き入れてくれました。
私としては、病院に来たばかりではパニックだけど明日になれば少しは飲み込めるかな、という思いもありました。
入院という方向へ収めたければ、元気だと言い張る本人の主張を否定したり、馬鹿なこと言わないで的な言動は取ってはいけないと思います。
家族だけではどうにもならない時がある
それから退院までの間、私たち家族だけでは説得できない時に先生と看護師さんが助け舟を出してくださいました。本人の気持ちも私たちの気持ちも汲んで関わってくださいました。
即日帰りたがるような人が、退院後も医療に繋がり続けることができているのは先生と看護師さんのおかげです。
今は、私自身もうつの治療中のため、お互いに「患者」になったり「患者家族」になったり忙しいですが、2人きりではないので私自身も家族の助けを借りています。本当はこういう状態は良くないのでしょうけど、他にどうすることもできないのでせいぜい共倒れにならないように気を付けたいと思います。
どうかこの夏を乗り切り、年越しを迎えてほしいです。