コンテナ貨物の国内輸送のコスト面や手配に係る注意点など基本的な知識や考え方を解説します。
特に中小企業における貿易事務の多くは、書類作成やコレポンのみに留まらずスムーズな輸送のアレンジもその業務範囲になります。
LCLで到着した貨物
*LCL=Less than Container:混載コンテナ
LCLでは、複数の荷主の貨物を1つにコンテナに詰め込んで運びます。
この混載貨物は、国内輸送においてもトラックに混載されるかというと、必ずしもそうではありません。
混載コンテナで運ばれた貨物であっても、物量によってはチャータートラックで運ばれることがあります。
ある規定の重量・容積までは①混載トラックで、それより大きい貨物は②チャータートラックというふうに振り分けられます。
輸送コストを考える際には、混載になるかトラックチャーターになるかで大きくコストが変わってくることがあります。
中小企業のビジネスにおいては、このような細かな費用でもちりも積もれば山となりますから、利益率を考える際にはこの点も考慮が必要と考えます。
FCLで到着した貨物
*FCL=Full Container Loading:荷主に1社よるコンテナチャーター
コンテナを開けず、そのまま道路を輸送することをドレージやドレーと言います。コンテナを曳くのは専用の車で、トラックの運転席部分のみ車体をコンテナと合体させるような構造です。
気にかけて道路の流れを眺めているとコンテナを曳くドレージの車はけっこう走っています。
運送業界では何年も前から「ドライバー不足」が叫ばれていますが、特にドレージの人材不足は深刻になっています。港での待機時間を考慮すると採算が取れないなどの諸々の事情により請け負う人材・業者が減少していると聞きます。
注意しなければならないのが大型連休前、連休明けの配送で、大変な混雑のために早いうちから押さえておかないと全くドレージが取れなくなります。予約を取れない場合、ドレージ待ちで港のフリータイムが切れてしまうこともあり得ます。
納期管理
配送完了日から逆算して船のスケジュールを決めますが、必ずしもスケジュール通りに動かないことを念頭に置きます。
よく遅延の原因になるのは天候不順です。入港が1日でも遅れた場合に、いちいち国内輸送(トラックやドレージ)の予約を変更することは避けたいです。
例えば「3日をキャンセルして4日の配車を取り直す」という、たった1日の変更がきかない場合があるからです。混雑により運んでくれるトラックの空きがなければ、貨物は港から動けません。
特に台風のシーズンは入港遅延が頻発しますので、注意が必要です。
入港遅延 >> 配車不可による港での停滞=遅延 >> 納品遅延 というふうに、1つ遅れると後ろが全てずれるようなギリギリのスケジュールの組み方は避けましょう。
自分の首を絞めないためのポイントはこうです。
・余裕を持ったスケジュールを組む
・余裕を持ったスケジュール+数日で客先へ納期を知らせる (=つまりギリギリの納期で客先に確約してはいけない)
また、客先の無理な要求に応えようとする場合には「生産のスケジュールは最短で手配しているが、船舶の遅延等によって日程は多少前後する可能性がある」ということは必ず伝えます。
無理難題をふっかけられた上に、約束しただろう!と怒られるのは不愉快ですからね。
小回りのきく配車
軽トラに積めるような少ない物量であれば、赤帽さんなどをチャーターする方法もあります。
輸出するLCL貨物として港・空港へ運ぶときや、空港へ到着した小さい輸入貨物でも有効です。
混載のルート便よりも速く、2tトラックチャーターよりもリーズナブルに利用できる場合に選択肢に上がります。
ドライバーさんに対して事前に書類を渡すなど少し準備が必要ですが、それを踏まえてもチャーターをする時間的なメリットがあれば使う手段です。
普段フォワーダーさんへ輸送手配をしている場合は、自社で手配するトラックについて相談の上、事前の準備をすると良いと思います。